『家族で迎える新しい生命』より、『雫の生まれる時』は当時自宅で写真展を敢行した。 14畳ほどの部屋を解放し、額装された白黒写真を30枚弱展示した。 一応、地元のタウン誌や新聞には告知を行ったと思う。 家の前の市道にも手書きの看板を立てた。 当時のあの熱は何だったのだろう? 分娩中の写真も何のボカシもなく掲示されており、田舎の町でやる写真展としてはかなり画期的だったはずだ。 もちろん、両親や知人からの反対もあった。 でも、この写真展の真の主催者は、ボクではなく、むしろかみさんの方だった。
たまたま夫がプロのカメラマンだったから、こうして実際の写真が記録され、残すことができた! でも、かみさんも分娩中は全く、自分の置かれた状況が把握できていなかった。 痛みと、エンドルフィンのせいである! 改めて写真で見て、それを再認識して振り返ることができたのは、彼女にとって驚きであっただろうし、心が震えたのだろう。 妊婦さんに、いや、経産婦さんにも、それどころか全ての女性に見て感じて欲しかったのだと思う! 生命を繋ぐ喜びと素晴らしさを…。 自宅での出産写真展にはそれでも多くの人が訪れ、その後、やがて出会うことになった「わはは」の中橋さんのお声がけで、坂出の商店街のイベントホールにてリバイバル展も催された。 11月3日に行われる「いいお産の日」イベントにも、アルバムを携えて何年か通った。 沢山の妊婦さんにも観ていただけたが、一番驚いたのはかなり年配の経産婦さんの感想だった。 正直、生々しい写真を見せられ、「こんなあられもない姿…。」とお叱りの言葉を受けると覚悟していたのだ。 が、実際は違った! 「自分も出産を経験しているけれど、痛かった記憶しか残っておらず、どんな状況だったのか全く分からなかった。今、このアルバムを観て、自分の出産もこんな感じだったのか?と再認識できた。貴重な写真を観せていただき、本当にありがとう!」 そういった、感謝の言葉を沢山いただいた。 また、妊婦さんに連れ添って、マタニティイベントに来場されている男性にも観ていただく機会があった。 他人の奥さんの出産写真を観せられ、かなりショックが大きかったと想像できるけれど…。 その中の何人かでもいい、このことをきっかけに奥様の出産時に立ち会ったり、実際物理的には立ち会えなくとも、普段から寄り添って下さった方がおられたら嬉しい! 続く 紙芝居師 夢追人拝
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