日々大きくなってゆくお腹を抱えながら、マタニティ雑誌などで母になる実感を積み上げてゆく女性とは違い、夫はなんのリアリティもないまま、父になる瞬間を迎える。
妻から見れば、結婚式の打ち合わせの時と同じ、どこか他人事的な感じに見えると思う。
ボクもそうだった。
だから、産婦人科に通い始めた頃、まるで遠足に行く様な呑気な気分で、ボクは一緒に通院した。付き添い運転手として…。
ボクたち夫婦が産院を決める条件の一つが、
【立ち会い出産ができること。その時、写真を自由に撮れること。】
かなり変わった夫だと思われたことだろう。ボクはまず先生に、その可否を問うた。
男性の出産のイメージは、多分未だにドラマのあのワンシーンだと思う!産院の暗い廊下のソファーに一人うなだれて、妻子の安否を願い、その時を待つ。分娩室から聞こえる産声…。赤子を抱かされ、「はい、お父さん。」
「娘さんをボクに下さい!」というシーンと同じ、定番中の定番だ!でも、今は大分様子が違うと思う。少なくとも20年以上前のあの時でさえ、ボクたちはず〜っとLDRの中で寛いでその時を待った。
LDRとは、陣痛から分娩、回復までを同じ一部屋で行い、リラックスした雰囲気で出産できるよう配慮された分娩室のこと。
一緒に産院選びをしたことは、かみさんのためにも、ボク自身のためにもよかったと思う。
流石に触診の時は部屋を出されたけれど、心音を一緒に聞いたり、エコー検査で動く我が子を見たりした経験、マタニティ教室を受けた経験から得られたものは大きかったと思う。
ボクは自営業だったので自由が利いたが、会社員という立場で付き添うことは、中々難しいことだと思う!
でも一度でもいい、そこに前向きに付き添ったという事実が、妻に与える安心感は絶対にあると思う。大事なのは義務感ではなく、好奇心である!未知の世界に、二人で入って行く。妊婦の不安はとても大きなものだろう?せめて隣にいてあげて欲しい!
紙芝居師 夢追人拝
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